大判例

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東京高等裁判所 昭和36年(う)1114号 判決

被告人 三浦義雄

〔抄 録〕

所論は原判示四の窃盗の事実につき、原判決には、事実誤認ないし法令適用の誤りがあるというのである。

しかしながら、右原判示事実は、原判決が挙示する対応証拠を綜合すれば、優にこれを認めることができる。すなわち右各証拠によれば、昭和三十二年十一月三日午後九時頃東京都港区赤坂新町二丁目十七番地中華料理店栄林こと関口さき方前路上において、同所に置いてあつた同人所有の丸石製黒塗第一種原動機付自転車一台(車体番号Y二〇四四一号、機関番号サンライト八二七号)が何者かに窃取された事実、被告人が同月二十九日同都渋谷区内東急本社前において右第一種原動機付自転車に乗車中、交通事故を起して車体を破損したため、被告人の長男勝太郎が同日これを同区上通り四丁目二十六番地自転車修理業大沢喜良方に運んでその修理を依頼した事実、その後約一年を経過しても被告人が右第一種原動機付自転車を大沢方から引き取らなかつたことを警察において探知し、調査の結果これが前記窃盗の被害品であることが判明したため、被告人がその被疑者として取調を受けるに至つた事実、被告人は捜査官に対し右第一種原動機付自転車は他人から買い受けたものであると弁解するのであるが、その買受けの相手方たる売主に関する被告人の供述は常に変転するばかりでなく、捜査官において被告人が二転、三転して供述するその売主を次々に捜査したが、結局これらの者は本件に全く関係がないか或いは所在不明ないし架空の人物であつた事実、被告人は原審において、右同様の弁解をしているほか、被告人の犯行であることの確証のある原判示三及び五の各窃盗の事実についてもこれと類似の弁解をしている事実等が明らかであつて、これらの事実を綜合すれば、原判示四の事実は証明十分であるというべきである。その他記録を精査しても、原判決に所論のような事実誤認ないし法令適用の誤りが存するものとは認め難く、論旨は理由がない。

(岩田 司波 小林)

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